妊娠期から産後3ヶ月ほどは赤ちゃんとともに母親も特にケアが必要な時期です
関連記事
妊娠期の心と身体は・・・
「ご妊娠おめでとうございます。」と、産婦人科の外来で診断を受けた女性の心の内は様々であることでしょう。喜びに満たされているかもしれません。嬉しいけれど母となることに不安を覚えているかもしれません。なかには、予想外の妊娠に戸惑い現実を受け入れられず、どうしたら良いか悩んでしまう方もいることでしょう。『赤ちゃんは、神様からの授かりもの』その赤ちゃんを産みたいと決意した時から、おなかの赤ちゃんを感じ、向き合いながら妊娠生活を送ります。そして、この頃から既に育児が始まっているのです。
生活面
お腹を守るように過ごし、重いものを持つことは控えるようになります。仕事は無理せず、睡眠時間もたっぷりとるよう心掛けます。
食生活
赤ちゃんは、ママから栄養を貰い育つのですから、つわりが落ち着いたころからは、身体に良いものを選んでバランスよく食べるようになります。食品の裏面に書いてある成分表示などにも注意を払い、お刺身、生肉などは避けて、アルコールをやめカフェインも減らします。
夫婦関係
赤ちゃんが生まれることを想像して話し合い、必用な物の準備と共に、心の準備をはかっていきます。妊娠中はホルモンの関係で、イライラしてしまうこともあるため、夫は妻を大きな愛で支え、不安な気持ちに寄り添いながら過ごしていることでしょう。
精神面
近年は超音波検査(3Dや4D)で、胎児の様子がよく分かるようになってきました。そのため、お腹の赤ちゃんを想像しやすく、とても幸せな気持ちになるはずです。しかし、その反面、妊娠中の様々な症状を、インターネットで気軽に調べられることで、沢山の溢れる情報に不安が増強することもあるようです。
『案ずるより産むが易し』という言葉があるように、出産し我が子をこの手に抱きしめた瞬間に、やっと10か月抱えていた様々な気持ちに解き放され、ホッとできるのだと思います。
産後の心と身体は・・・
「オギャー」産声を大きく響かせ、元気に生まれてくれた赤ちゃん。その瞬間から、我が子(大切な命)を、夫婦で大事に育てていくことになります。幸せと共に、親となった責任感から、最初は頑張りすぎてしまうこともあります。子どもが健やかに育つためには、母親は我が身を削ってでも我が子を守るために尽くすからです。
生まれてからの生活(1~3か月)・・・
オムツ交換→授乳→オムツ交換→抱っこであやす→お布団へ寝かす→(直ぐ泣いて起きる)そして、またオムツ交換から始まり、この繰り返しが2~3時間毎にあります。最初のころは、授乳が12~15回もざらです。そして、1日1回沐浴(赤ちゃんのお風呂)もあり、自分のことは後回しになり、寝食もままならず赤ちゃんのペースで生活していくのです。これは、今までキャリアを積んでバリバリ仕事をしてきた女性にとって、経験のないことであり想像以上に大変なことと感じるでしょう。仕事はこなせば比較的早い段階で結果や成果が得られます。しかし、子育ては一生懸命繰り返し行っていても、その答えは出ないのです。自分の行っている育児が、合っているのか、間違った育児をしてはいないかと不安にさえ陥ります。そして、そんなときに直ぐそばで支えてくれる家族がいれば救われます。しかし、高齢出産が増えてきていることもあり、サポートがいない状態で育児をしている方も多く見うけられ、母親の心身は疲れ果て困窮している方もいるのです。
床上げの重要性
最近の母に「床上げ(とこあげ)」を知っていますか?と尋ねると、皆首をかしげます。10年前には知らない方のほうが少なかったように感じます。「床上げ」とは、地域によって「産明け(うぶあけ)」や「帯明け(おびあけ)」ともいわれ、産後3週間(産後21日)で、敷きっぱなしになっていた布団を片付けて、産後の養生期間を抜けることを言います。それまでは、出産で体力が低下した母の心身の回復に努めるために、のんびりと過ごすことが大切という事なのです。子育てをしていくうえでこの様な大事なことが、今の日本では受け継がれてないことに私は寂しいと感じています。この休養が必要な時期に、夫以外の家事支援をしてくれるサポートがいない母は、産後直後からかなり無理をしています。その場はやり過ごすことが出来ても、数か月後に心身の疲れがおとずれます。だから、最低でも床上げ3週間はゆっくり過ごしてくださいと、伝えていきたいと思っています。そして、この時期に母が家族や周囲から頑張って出産されたことを労われ、優しく大切にされることが何よりも必要なのです。そうすることで、母の情緒は安定し育児に前向きになることが出来るのです。
*産後のサポートについては、各市町村により様々なサービスがありますので、早めに居住地の保健福祉センターへご相談すると良いでしょう。
産後1〜2ヶ月に多い、産後うつ
産後1~2か月の母10人に1~2人、産後うつになる方がいると言われています。症状の出かたには個人差があるようですが、以下のようなことが見られやすくなります
・子育てに自信が持てず不安で仕方ない
・赤ちゃんのお世話を面倒に思う
・赤ちゃんをかわいいと思えない
・好きだったことにも興味や喜びを感じられない
・何ごとにも無気力で、家事や育児をやる気にならない
・疲労感が続いている
・集中力や思考力がない
・何かとイライラする
・不眠などの睡眠障害が見られる
・食欲がない
・自分は母親失格だと思う
・こんな母親ならこの世からいなくなった方がいいと思う 等
このような思いや症状は、皆に多かれ少なかれ現れますから、周りが母の症状に気付き寄り添い支援していくことが望まれます。そして、様子が長引くようであれば(2週間が目安)早めに専門家へ相談しましょう。
最後に・・・
出産とは、女性の人生において1度か2度の大イベントです。我が子を、この胸に抱いた時の幸せは、一生忘れることはありません。我が子は、とにかく可愛いし、血を分けた家族ができたことは言葉に出来ないほどの幸せです。その気持ちを忘れずに子育てをしていれば、きっと間違ったことなど母親がするはずがありません。それでも、迷い不安になった時には、SOSを出しましょう。出産病院や保健福祉センター、地域の開業助産師などが力になれるはずです。私も地域で活動をする助産師として、気取らない幸せな育児ができるよう母子に寄り添ってまいりたいといつも思っています。沢山の笑顔があふれるように。
アドバンス助産師
又木 由美
又木由美の電話・オンライン相談について
アドバンス助産師 又木由美が主宰しているナチュラル母乳育児相談室では、現在、妊娠中の方から産後の方に向けて電話・オンライン相談を受付中です。
)
ご興味ある方は、こちらからご覧ください。