こんにちは!
WOMANウェルネスプロジェクトメンバーでシンガポールに来て丸3年が経過した保健師Sayaです。
シンガポールの市中感染はほぼ収まり(5月31時点)4月7日から始まったサーキットブレーカーと呼ばれるソフトロックダウンのような制限が6月2日から段階的に解除されることになりました。
6月2日の解除後もソーシャルディスタンシングの徹底、同一世帯以外の接触は禁止などはもうしばらく継続され、違反した際の罰則も厳しく決められています。また制限が厳しいだけではなく、給料の補償や国民に対しての給付も明確化されアメとムチが使い分けられている印象を受けます。
シンガポールに来た当初から、いかにこの国がシステマティックな国かを随所で見聞きしてきましたが、今回の感染対策においても、スムーズなオンライン授業への移行、感染者の追跡アプリの開発と、この国のシステム化の迅速さには、さほど詳しくない私でさえも驚かされました。
(スーパーやモールに入る際は、QRコードで個人情報を登録する必要があります(一度登録してしまえば手間はありません)。全ての居住者にマイナンバーの番号が割り当てられているので、誰がいつこのモールにいたのか追跡が可能となっています。)
驚かされたBubble Teaへの反応
一方で、私にとって印象的だったのが感染対策下でのBubble tea (バブルティー)への国民の反応です。
シンガポールの国民的な飲み物の一つにBubble teaがあります。日本でもブームになったタピオカミルクティのようなもので、シンガポールでは食後や小腹が空いた時の定番ドリンクです。お店ごとにメニューも様々でBubble teaだけを扱う専門店も全土にあります。私も見かけるとつい買いたくなってしまいますが、お店に行列ができていることも珍しくありません。
そんなBubble Tea のお店も、政府の指示より休業を余儀なくされました。翌日からの休業が発表された直後のBubble tea店の様子がこちらです。
(by The straights times on 21 Apr.)
長蛇の列ができてしまったのです。このニュースは国内で大きく取り上げられました。
同時期に休業指示のあったケーキ屋等には、その後開業許可が降りても、Bubble tea店は許可が降りず、5月末現在も休業のままです。休業開始前夜の行列が事の大きさを物語っています。
(Bubble teaについては特記されている)
人の嗜好はそれぞれ。だからこそ、大事にしたい
この状況が、私にはとても衝撃でした。
日本人には分からないけれど、シンガポ―リアンとっては譲れないこだわりがあると改めて感じたからです。そういえば、日本で保健師として働いていた時も、自分には分からないけれど、相手にとっては譲れない食へのこだわりがあると感じることがあり、その感覚を思い出したのです。
私もBubble Teaは好きですが、普通のコーヒーも好きですし、お茶も好きです。
でも中には、「絶対にBubble Teaが、飲みたい人」もいます。「今、飲みたい」という時もあります。今回のことで言うのなら、感染対策の一貫としては、行列を作ってまで買う行為は肯定されないかもしれませんが、当たり前に毎日飲んでいたBubble Teaなので、どうしても飲んでおきたかったという“こだわり”があったのかもしれません。そしてこの“こだわり”はどんな人も持ち合わせていますよね。
きっと皆さんも、外出制限や毎日買い物に行けない中でも「どうしてもあの店のこのおかずやデザートが食べたい」「いつものお店で同僚とランチがしたい」などあったと思います。そして、制限がある生活の中だったからこそ、「私はこれが本当に好きだったんだな」と気付くこともあったかもしれません。その一口、一杯で癒され今日も乗り切れたと感じられ、感謝の気持ちを持たれた方もいるのではないでしょうか。私もこの期間中、家事・育児に疲れ、もう無理となりそうな時は、大好きなお寿司を頼んでいました(日系のチェーン店が自宅の近く進出してきました)。家族には頼み過ぎといわれる量を頼んでは、心行くまで食べて、心身が満たされていました。細心の注意を払って開店してくださっているお店の方々に心から感謝でした。
このコラムを読んで下さっている方の中には医療職の方も多いと思いますが、私が日本で保健師として働いていた頃、減量や食事の相談もよく受けていました。
◇仕事後にデザートを買って帰るのが日課になっているワーキングマザー
◇コンビニ弁当の内容は改善できても、毎日飲む炭酸飲料だけは譲れなかった若手社員
◇食後のアイスがどうしても止められない中年男性
などいろんなエピソードに出会ってきました。
相手の健康のため、検査数値の改善のためには、この味付けもしくはこの食材を別のものに変えればいいのになと思うこともあります。けれど “人のこだわり”、は人それぞれ。「それでないと嫌。絶対この味付けがいい」というものは誰にでもあり、個人的には、本人にとって「本当に満足できる一口」なら、それは尊重したいと思っています。
今もそれぞれの国や地域で制限もあるかもしれませんが、出来る範囲で最大限、食べること・飲むことを大事にしていけたらいいなと思います。
この制限された生活だからこそ、改めて気付いた皆さんにとって大事にしたいものは何でしたか?
今回も最後までお読みいただきありがとうざいました。
(By:保健師Saya)