更年期の仕組みと時期
女性が働き続けていく社会になった今、長く仕事をする上で必ずやってくるのが「更年期」というライフステージです。この更年期って、何歳から何歳だと思いますか?
実は、更年期とは「閉経」(月経が来ない状態が12か月以上続いた時)の前後5年間である10年間のことを指します。ですから、自分の更年期は閉経を迎えないと分からないわけです。つまり更年期の時期は人によって違うのです。
48歳で閉経だった方は、43歳~53歳が更年期になります。日本の平均閉経年齢は50.5歳と言われていますので、45歳~55歳が更年期の時期の方が多いと思います。
女性のからだのしくみとして、エストロゲンという女性ホルモンが40代に入った頃から急激な低下が始まり、これに伴い、様々な身体的、精神的症状が現れるのが更年期障害です。個人差はありますが、早い人は40代に入ってすぐ症状を自覚することもあります。
女性ホルモンの低下はすべての女性に起こりますが、全員が更年期障害を起こすわけではありません。あまり症状を感じないまま過ぎる場合もあれは、日常生活に支障をきたすほどひどくなる場合もあります。
40代、50代は子どもの成長と独立、管理職の迷いやストレス、夫の定年、親の介護や死、などの変化が訪れ、また働く女性は仕事の責任が増し、キャリアの充実期にも重なります。中には、更年期症状が原因で昇進を諦めたり、退職を選択したりする人がいることも最近のNHKの実態調査1)でも明らかになっています。更年期症状を自覚した者(現在または過去3年以内の経験者)のうち、医療機関を受診しなかった者の割合が全体の約7割を占めているという結果でした。また、更年期症状が原因で、いずれかの雇用劣化(非正規化、降格・昇進辞退、労働時間・業務量減、仕事をやめた)が起きたと自ら認識した者の割合は、全体の15.3%を占めていることが分かっています。キャリアの大事な時期を乗り切るためにもセルフケアはとても大切です。
簡略更年期指数(SMI)で更年期症状を把握する
更年期症状は、多岐にわたります。簡略更年期指数(SMI)でご自身の現在の状態もチェックしてみましょう。
自律神経の乱れにより、急に顔がほてり汗をかいたりなどホットフラッシュ症状に驚く女性もいますが、事前にどんなことが更年期に起きやすいかを知っていると心の準備もできますね。この他に閉経を迎えエストロゲンが低下すると、コレステロールが増え動脈硬化や骨粗しょう症も起こりやくなりますので、生活習慣もあらためて見直すことも大切な時期になります。
更年期症状に悩んだら
我慢しないで婦人科を受診
これらの不調に対しては、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬による治療があり、HRTに使うホルモン剤は内服薬のほかに、皮膚に貼るパッチ剤や皮膚に塗るジェル剤もあります。漢方薬の選択肢も含め、我慢しないで婦人科を受診し、医師に相談してみると良いでしょう。また、最近注目されているのがエストロゲンとよく似た働きをするエクオールのサプリメントです。
私自身もまさに更年期ですが、我慢せず今ある選択肢の中で選んで試してみて、自分に合うかを確認することはとても大切なことだと実感しています。誰かが効果を感じても、自分が効果を感じるとは限りません。
私が出逢った方の中では、HRTで悩んでいた不調が劇的に改善された方、HRTには抵抗がありエクオールを選択して効果を感じた方、エクオールは効果を感じなかったけどスポーツクラブに入会して運動したら不調が改善した方など様々です。
生活習慣を見直しセルフケア
食生活、睡眠、運動やメンタルケア(リラクゼーション)など、改めて生活習慣を見直し、セルフケアを取り入れるなど、自分が心地よいと感じる選択をする事も良いでしょう。
人生100年時代を迎えた今、更年期以降の人生が昔に比べ長くなっています。
更年期は人生のターニングポイント。一度立ち止まり、自分の人生を見直しライフスタイルをシフトチェンジすることは、これからの人生を豊かにするはずです。
更年期をネガティブに捉えず、さらにもっと自分らしく幸せに生きる「幸年期」にしていく心持ちで過ごしていきませんか?
<引用文献>
1)「NHK実施「更年期と仕事に関する調査2021」結果概要―仕事、家計への影響と支援について―
<参考文献>
「いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全マニュアル】」高尾美穂著(世界文化社)
♦7月30日に第8回 WOMANウェルネスライフ研究会 5周年記念講演「高尾美穂先生と考える『更年期』を健やかに幸せに生きるために」をオンライン開催予定です!直接、高尾美穂先生のお話を聴けて、Q&Aコーナーでご質問もできます。
詳しくはこちらをご確認下さい。↓ ↓ ↓
加倉井 さおり
株式会社 ウェルネスライフサポート研究所 代表取締役
WOMANウェルネスプロジェクト代表(保健師・心理相談員・ICP認定コーチ)
加倉井さおりプロフィール
●―北海道生まれ、心理相談員・保健師とし18年財団に所属。働く女性や母親を対象としてカウンセリングやセミナーの企画運営も数多く手がけ、講演実績は3000回以上にのぼる。
働く女性たちへのコーチングセッションや夢を描き叶えるワークなども多数行っている。
●―これまで結婚、出産、育児を通して、妻であり、母であり、女性である自分を大切にしながら、仕事を継続。
実母が難病になり、育児、介護、仕事の両立に悩む。様々な苦悩を乗り越え、2010年に独立し㈱ウェルネスライフサポート研究所を設立。
女性の健康やキャリア、生き方などをテーマにした講演や研修は、ほぼ100%クチコミ・紹介・リピートで依頼されている。
女性の健やかに、自分らしく、幸せに生きるための方法論として「愛して、学んで、仕事をする」生き方・在り方を提唱し続けている。
プライベートでは3人の男子の母。

関連記事
その他の幸せ人生応援コラムはこちらからお読み頂けます。
メルマガ登録のお知らせ
WOMANウェルネスプロジェクトの新しい講座・イベント情報をお送りします。
こちらからご登録ください。