9月15日は記念すべき第1回WOMANウェルネスライフ研究会を開催いたしました。
ずっとあたためてきたこの研究会発足、そして今回の企画。
「働く女性がもっと輝く職場の健康支援~何ができるか、実践事例から学ぶ」をテーマに、満席での開催となり反響の多さにも手応えを感じました。
福島からは3名もいらして下さり、滋賀、京都、大阪、静岡、長野…と遠方からのご参加が多数あり、満席となったことからも、皆さんの関心の高さが伺えました。
研究会報告
第1部:講演「働く女性の健康支援をする中で、今伝えたいこと」 (株)ウェルネスライフサポート研究所 代表取締役 加倉井さおり(保健師)
女性活躍推進の流れの中で、働く女性は全体の労働人口の半数を超える状況で、確実に働く女性は増えています。そんな中で心もからだも健康でイキイキ働いている女性は果たして増えているのだろうか。心とからだに不調を抱え悩みながら働く女性を増やすことが、あってはならないというメッセージと共に、最新のデータや弊社の保健師へのアンケート調査結果なども盛り込み、これまで官公庁、企業などで実施してきた女性の健康支援の内容もご紹介していきました。
「女性」といっても年齢も生き方も状況や働き方も様々です。ライフステージで起こりやすい心とからだの悩みにも触れていきました。働く女性の声の中では「女性であっても女性のからだのことを知らなかった」「これからのキャリアを考えなおしたい」と自分のことを振り返るだけでなく「あらゆる女性に知って欲しい」「男性にも、上司にも知って欲しい」などの声が多く上がります。
今、働く女性たちが抱える課題とは?
・女性の生き方の多様化とお互いの違いを認め理解し合うこと
・様々な要因からのメンタル不調者の増加
・妊娠、出産後も働きやすい職場の制度だけでなく風土があるか
・働く女性たちが女性のからだや心について正しい知識やセルフケアについて学ぶ機会が少ない
これらを踏まえ、企業側のラインケア、そして働く女性自身のセルフケアの両面から女性の健康支援を考える必要があることをお伝えしました。
そしてこれまでの企業や官公庁での女性の健康支援の実践も踏まえた上で、5つの提案をしています。
今後の女性の健康支援 5つの提案
①人事・労務と健康管理部門との連携による女性社員への研修機会と管理職や男性も含めた全社員への教育の機会を!(女性のからだや心の健康をテーマにした内容を女性活躍系の研修、また階層別研修の中へ導入する)
②ストレスチェック制度を活用&メンタルヘルス研修の実施(これらの中にも女性ホルモンとメンタルの関連を研修内容に導入できる)
③母性健康管理体制と相談できるしくみや、妊娠中、産後も働きやすい勤務制度や風土改革
④ロールモデル、先輩、経験者を囲んでの情報交換や交流の機会
⑤健診プラス乳がん・子宮頸がん検診をすすめていく
多様な生き方、働き方、ライフステージやニーズに合った健康支援、そして様々な機会を活用しての健康支援が必要であることを提唱しました。
第2部:実践報告「誰もが安心して長く活躍できる 組織を創る」~ウエディングパークのライフキャリアデザインプロジェクト~ ㈱ウエディングパーク 執行役員 保田誠一郎様
第2部は、実践報告として2年前に私が全社員へのダイバーシティ研修を担当させていただいた株式会社ウエディングパークの執行役員である保田誠一郎様にご登壇いただきました。
株式会社ウエディングパークは、ビジョンに「21世紀を代表するブライダル会社を創る」、経営理念に「結婚を、もっと幸せにしよう。」を掲げ、1999(平成11)年9月に設立され、社員数126 名、平均年齢 28.2 歳 そして男女の割合 50 % : 50 %である会社。
全社員向けの健康支援関連の制度としては、健康診断(年1回)、産業医面談、時間外管理の徹底、年1回以上の人事面談の実施の他に、以下の女性向け健康支援関連制度があります。
株式会社ウエディングパークの女性向けの健康支援関連の制度
・エフ休:⼥性特有の体調不良に配慮した⽉1⽇の特別休暇。
・妊活コンシェル:保健師に妊娠、⼥性系疾患について相談できる制度。
・妊活休暇:子どもを授かる為の通院等に取得できる特別休暇。
・婦人科検診:通常の健康診断の他に、任意で婦人科検診の受診が可能。
・コーヒーブレイク面談:育休取得者向けの復帰前面談。復帰の不安を取り除く。
この他に、活躍を推進する制度事例として『カレーファミリー制度』(新入社員のためのメンター制度、)『部署トーク』(各部署の業務やミッションの相互理解を促す社内イベント)など斬新でユニークな人事制度や取り組みもご紹介いただきました。
2016年10月全社員向けダイバーシティ研修内容
また、2016年10月全社員向けダイバーシティ研修についても詳しく紹介されました。
第1部(3時間)全社員向けのダイバーシティ研修
第2部(30分)管理職向け:妊産婦、育児中の女性社員への対応方法セミナー
女性だけに限らず、男性も含めて、全社員で学ぶ場を創り「仲間の多様性を理解して、誰もが安心して長く活躍できる職場を創る」を目的に研修を実施。満足度も高く、受講後のアンケートの声も紹介されました。2018年「働きがいのある会社」ランキング初エントリーで、ベストカンパニーを受賞もされ、これからも「安心して挑戦できる環境づくり」からだの健康支援と同時に、一人ひとりが力を発揮できるような制度・環境づくりに力をいれ、心身ともに健康で活躍できる会社づくりを引き続き行っていきたいと、力強い言葉がありました。
受講された皆さんとても刺激を受けたようでした。
第3部:意見交換タイム
第3部はフロアで意見交換タイム。
自分の職場での取り組みとこれから実施したいことなどを各グループで話し合い、発表。
以下のような内容が発表されました。
各職場で実施している女性の健康支援・現状
勤務体制
・育休交替勤務者3年まで
・時短勤務
・フレックス勤務
・弾力勤務 7時、7時半、8時半、9時、9時半、10時半 勤務開始時間選べる
・大学は自由裁量制、年休取れない、自分の健康を考えないといけない。土日出勤しても代休がない。
・生理休暇13日あり、月2日まで使える
人事制度
・再就職制度
・妊婦面談
健康教育、研修の機会
・女性限定健康セミナー(年代別)
・女性学リーダーセミナー(希望者)
・女性防犯セミナー
・有志でヨガをやっている(職場が実施)
・ランチタイムなどを使って、先輩と語る機会を作ってくれている(小1の壁、育休あけの方)
・月一回、男性のがんを含めた女性特有のがんの研修。
・育休あけ社員の研修、年代別の女性健康セミナー
・骨盤矯正&ウォーキング教室
健康管理体制
・婦人科検診(乳がん(マンモ)・子宮がん)を指定医療機関や定期健診に合わせて同時実施している。助成金制度がある。
・婦人科検診(30歳から25歳へ変更)
・女性検診をセットすると外部の健診期間を利用できる
・子宮がん検診は年齢制限なし
・健診、色々な形で受診できる場の提供。女性社員向けの健診情報の周知
女性社員の乳がん、子宮がん受診できる体制(費用補助含めて)、育休産休不妊治療の補助アリ
・30歳以上の婦人科検診
・女性専用の休憩ルーム(ベッド・ソファー、カーテン)、会議室をネストルームにした。薬を飲んで30分休むこともでき搾乳や生理痛で使用もできる。
・医務室ではなく、リラックスできる部屋(使用30分)
・生理痛の薬もあり、休養室もある。
・健診の時、1,500円負担で子宮、乳がん受診できる。
企業で働く人事労務の方や保健師の他に福祉の分野で働く保健師、看護師の方もご参加されていましたが「福祉の現場では、一般企業と比べ、女性の健康支援は遅れていることを実感した」という声もありました。
実施してみたいことや感じたことなど
・婦人科検診を充実させたい
・社員向けのメンタルヘルス、ヘルスケアが考えられないと感じるので何かしたい
・非常勤の職員の健診受診状況の確認や健康教育をしたい
・企業や保険者が求めることを拾いあげて健康支援したい
・知らないと感じている(アンケート結果から)ことについて情報を提供したい
・休養できる場所を作ってあげたい 声を上げていきたい
・薬を常備していきたい
・子育て支援
・ランチセミナー
・ヨガ(定時後)
・ひめトレセミナー(尿漏れ対策)
・大塚製薬など他企業の応援を利用したセミナー
・メンタルヘルス研修で、対象を女性に絞った形でやってみたい
・女性の体・・・ヨガや運動、足をのばせたりストレッチできる場を作りたい
・女性の体の仕組み、こういうことが大変だけでなく、バランスよく女性目線だけにならないように伝えたい(理解してくれる人はいいが、できない人はまたかと思われる)
・ペアレンツ教室のように男女ともに両方できるといい
・管理職研修に女性の内容を加える
・男性を仲間に入れて、巻き込んでいきたい
・上司を巻き込んで管理職(男性)研修し、一緒に考えていただきたい
・自分たちのアイデアで制度を創っていくことができたら独自のものは楽しめ職場改善につながる
コーヒーブレイク面談のように自分の会社に合ったものを総務(会社)と考えたい
・成果がでれば勤務時間、勤務場所(在宅)は自由などの制度
・カレーファミリー制度を参考にできたら…
各職場での取り組みを知ることで、自分の職場を見直し、これからの女性の健康支援をしていく具体的なヒントや背中を押すことになったのではないかと思っています。
閉会しても、まだ会場に残り参加者同士で話が止まらないくらいでした。
女性の健康支援をする保健師などの専門職、人事や労務、ダイバーシティ担当者、そして働く女性たちが一緒に学び、繋がり、実践していく場として「WOMANウェルネスライフ研究会」を、これから皆さんとご一緒に創り発展させていきたいと思っています。
女性の健康支援は、誰もが安心して長く活躍できる職場を創ることにも繋がっていくはずです。いずれは「女性の」と言わなくてもいい時代が来るのではないかとも思ってます。
アンケートからは多くの方が女性の健康支援に一歩踏み出す力が湧いたことが、とても伝わる自由記載がいっぱいでした。その一部をご紹介します。
参加者のアンケートやメールの紹介
◆研究会へ専門職以外の者でも参加できる門を開いていただきありがとうございます。学び続けていきたいと思います。そして職場に還元できるよう少しづつ取り組んでいきたいです。
◆女性の健康支援のヒントをいろいろいただけました。
◆とてもわかりやすい講義でした。ありがとうございました。
◆社内で社員から女性支援の必要性の声が聞こえてきていないので、後回しにしていましたが、アンテナはって情報収集したいと思いました!
◆企業の健康支援施策を伺い自分の職場、会社の取り組みの遅れを強く感じました。できることを改めて考えていきたいと思います。
◆女性の健康支援に関するデータは見たことなかったので、今後の参考になりました。一歩踏み出すことの重要性をとても感じました。頑張ります。
また終了後もたくさんの方からメールをいただきました。そのいくつかのお声をご紹介します。
◆とても学び多き時間でした。職種は様々でしたが悩んでいる事は同じなんだ、という事がわかりました。今、自分に出来ることを大切にしていきたいと思いました。
◆昨日はステキな時間をありがとうございました。金曜日まで広島出張で、その足で高松の実家の一人暮らしの義母に会いに高松に立ち寄り、土曜日の朝、飛行機でもどれば、間に合う!との強行軍でしたが、無理した甲斐のあった、学びの多い時間でした。と・・・
また、研究会後、さっそく女性社員へアンケートを実施し、みんなが希望したPMS.、月経困難症、更年期についてセミナーを開催してきましたという報告も届いています。
本当にたくさんの皆さんの応援やご協力があって開催できた第1回の研究会。
感謝の想いと「さぁ、これから!」という新しい扉がまた開いたような気持ちです。
そして、今回はWOMANウェルネスプロジェクトのロゴが入ったマグネットとメモスタンドと著書を販売させていただきました。
今回の参加費とこちらの売り上げの一部を、北海道地震と西日本豪雨災害への義援金として、日本赤十字社を通じて寄付をさせていただきました。
今回のこのWOMANウェルネスライフ研究会の開催がご参加された方だけでなく、北海道や西日本で暮らす皆さんのお役に少しでも立てれば幸せです。
次回は3月23日(土)14時~17時、汐留で開催を予定してます。
メンバーと共にまた企画準備をしてまいりますので、皆さんのご参加をお待ちしております。
WOMANウェルネスプロジェクト
代表 加倉井さおり
(photo:KayoKikuchi)
WOMANウェルネスライフ研究会入会方法について
WOMANウェルネスライフ研究会は医師・保健師・助産師・看護師などの保健医療スタッフだけでなく、人事・労務、キャリアコンサルタント、セラピスト、また働く女性としてなど様々な立場の方が、女性の「健やかに、自分らしく、幸せに生きる」を支援するために、共に学び、繋がり、実践する研究会を目指しています。違う立場の方が、集い交流する場は、とても刺激的で新しい視点を得られ、、また多様性理解や新しい発想を生み出すと思っていますのでご興味ある方はぜひご入会ください。
【WOMANウェルネスライフ研究会】
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ご入会いただいた方には、欠席分の資料、アンケートもお送りいたします。
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