2月28日に第13回WOMANウェルネスライフ研究会 「働く女性の健康支援~これまでの取り組みと未来に向けて」が開催されました。
今回もMika Masakiさんにレポートしていただきました。
講座の詳細はこちらをご確認ください。
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今回の研究会は、WOMANウェルネスプロジェクト・㈱ウェルネスライフサポート研究所代表である加倉井さおり氏による講演です。
研究会の目的である「職域を超えて様々な立場の方と、女性の『健やかに、自分らしく、幸せに生きる』を支援するために、共に学び、つながり、そして実践していく」ために、長年、女性の健康支援に携わった豊富な経験や、働く母親1000人実態調査、健康教育の具体的な実践内容など、貴重なお話をいただきました。まさに、加倉井メソッドをあまねく学べる場になりました。
この10年間で大きく変化した「働く女性」
はじめに、加倉井氏からはこの10年の社会変化についてお話しいただきました。
この10年間で社会構造の変化から、女性の働き方、そして生き方が大きく変化して来ました。とくに新型コロナ感染症の流行は、ライフスタイル、そして働き方にも大きな変化をもたらしたことは多くの人が実感できるでしょう。
女性という視点では、2014年に、内閣府は「全ての女性が輝く社会作り本部」を設置。少子超高齢社会、そして人口減少時代に突入による現役世代の減少から労働力不足が現実化し、もう女性に働いてもらわないと国として成り立たないという背景もあります。
これに呼応して、女性労働者の増加への期待からか、女性活躍推進、1億総活躍社会と言われ、また働き方改革、健康経営が推進され、そしてダイバーシティ&インクルージョンという視点での企業の取り組みも進められています。
2016年4月に施行した「女性活躍推進法」は10年の時限立法として制定をされ、今また10年延長されましたが、これは、まだ「女性活躍」には取り組むべき課題があることをあらわしているといえるでしょう。実際、労働力人口の女性の割合は45.1%。年々働く女性たちは確実に増え、結婚しても働くという選択肢がスタンダードになっていて、共働き世帯が増えています。
ただ、日本では管理職に占める女性の割合は格段に低く、管理職を希望しない女性も少なくないと感じます。こうした「今の働く女性」の置かれている現状と課題について、解説していただきました。
この現状から、加倉井氏が抱いたのが「心も体も健康で、生き生きと働いている女性は果たして増えているのだろうか」という大きな疑問です。これが、女性の健康支援により力を入れていきたいという想いとなり、この研究会を立ち上げるきっかけになったそうです。
幸せに働き続けるためには健康がベースであり、働き方(生き方)、そして心と体、この3つのバランスをとることが、生き生きと自分らしく人生を歩むことに大切であることは、10年前も今も変わりないと加倉井氏は語られました。
女性の健康支援のテーマとして、いま重要なものは何か
働く女性の健康支援において、対象者、テーマ、設定される場などにより、求められるものは多岐にわたりますが、知っておくべきことはどんなことでしょうか。加倉井氏から、トピックとなるもの、欠かせないものなどをお話しいただきました。
●年代別でおこりやすい女性の健康課題

女性は、それぞれの年代でおこりやすい健康課題は変化します。女性の生き方は多様性があるので個人差はありますが、その年代に合わせた健康課題を切り口に健康教育をすることも重要です(詳細は後述します)。
●働く女性の世代に罹患率の高い女性のがん

20代から50代では女性のがん患者は男性を上回っていることを伝え、がんのリスクを認識してもらっています。子宮がんは子宮頸がんと子宮体がんの二つを指し、年代によって起こりやすい、その子宮がんが変わってくること。また卵巣がんについて、女性特有のがんとして話をするようにしています。乳がんでは働く世代に罹患率が高く、30代から増え始め40代後半から60代ピーク。男女ともに参加する健康セミナーでは、罹患者の1%ですが男性にも乳がんが発生することを情報提供することで認識が変わります。
●職場で女性の健康支援を進めていく必要性
・職場での女性の健康課題についての困りごとや社会的損失(経済産業省データから)


女性の健康課題として職場で困った経験があるという回答が51.5%。そのうちの多くが、月経痛などのPMSと更年期障害などで、その4割を超える女性が、その女性特有の健康課題によって職場で何かを諦めなくてはならないと感じた経験があると答えていることから、キャリアアップや仕事自体を辞める女性が増えるのは大きな損失であり、社会全体で見ても経済的な損失はなんと3.4兆円にもなることを伝えています。
・更年期障害への職場での対応(NHK調査)


50代前半の5割以上は、更年期症状があるが受診しない人が7割。そして誰にも相談しない。更年期障害について職場でどう扱ってほしいかという調査で職場全員の研修が第1位。女性は自分の健康課題について相談できる場がない。管理職側もどう対応したらいいか対処に困っている状況なので、専門職の支援者が必要性を感じています。
また職場において、女性に関するヘルスリテラシーの高さが、好影響を及ぼすことの調査結果が示されていることがわかります。
他にも、今知っておきたい女性の健康支援の情報を紹介していただきました。

実際に女性の健康支援について取り組む企業の好事例も紹介をいただきました。
ホームページにピンクリボン運動として乳がんの知識と予防の情報などを掲載。
・本田技研工業株式会社の取り組み 従業員の実際の声を取り入れた情報サイトを作成。社員の座談会も掲載。
働く母1000人実態調査などの発信


働く母1000人実態調査は、週刊東洋経済の執筆依頼から、働く母親の心と体の健康状態の実態がわかるデータがないことに気づき、ないなら自分で調査しようと思ったことが始まりです。
調査結果から働く母親の心身の疲弊している状況やパートナーとの関係を把握できたことから提言、また学術誌(周産期医学)に執筆するなど、社会へ発信しています。調査データは利用してもらうことが価値と、加倉井氏からは活用を呼びかけられました。
働く女性の健康支援の実践例
後半は、実際にどのような女性の健康支援が行っているのか例示していただき、健康教育の企画を立てるうえでのポイントと、研修などで対象別に伝えるべき内容をまとめていただきました。まさに今までの加倉井氏の実際の活動から得られたリアルで貴重な内容です。









●自分事化するための様々なプログラム
また、健康教育において、自分事化するために様々なプログラムがあります。
今回の研究会ではグループワークが数回もたれましたが、他の研修でも、参加者自身が感じていることを参加者同士で語り合う場を設けることが多いそうです。安心して話せる場づくりをするのは必須ですが、こうした場は、悩みを共有したり、解決策を見出せたり、情報交換をする場にもなるという感想が出ているそうです。

誰もが安心して長く活躍できる職場をつくる3要素
誰もが安心して長く活躍できる職場は、制度、風土、意識が深く関わっています。近年は制度が整備されてきていますが、実際に制度を活用していくには、風土を育てることが必要であり、そのために、1人1人の意識を変えていくこと、健康教育、健康支援がとても重要です。
こうした取り組みに、自分自身は何ができるか、また本日の研究会で得たことなどについてグループワークで語り合いました。参加者からは、研修会の企画のヒントをたくさんもらえた、継続的な活動とするために従業員の声を聞いて次の活動につなげたい、どんな切り口でも女性の健康支援を発信できると思ったなどの感想がありました。
最後に、加倉井氏から「私のこの10年の活動を全部盛り込んでお話ししました。全ての女性が健康で生き生き働き続けることができる社会は、誰もが働きやすい社会につながる。男女ともに学び、理解し合い、そして自分にも周りにも優しさを育む、そんな女性の健康支援、そんな未来を一緒につくっていただけたらと思います」とメッセージをされました。
前回連載が好評だった『へるすあっぷ21』(法研発行)に、4月から加倉井氏の新たな連載がはじまります。こちらも楽しみです!
(レポート:Mika Masaki)
2025年度WOMANウェルネスライフ研究会

【2025年度WOMANウェルネスライフ研究会】
第14回 2025年8月30日(土)14時~16時
「働く女性の健康支援 実践報告~弊社での取り組み」
登壇者:企業保健師(交渉中)
第15回 2026年2月14日(土)14時~16時
7周年記念講演「更年期の健康支援を考える」」
講師:高尾美穂先生(産婦人科医)イーク表参道副院長
WOMANウェルネスライフ研究会の今後の活動予定、入会方法などについて詳細は、WOMANウェルネスライフ研究会ページをご覧ください。
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